ラテンアメリカの水の安全保障を高める、企業と農家をつなぐ革新的なモデル

Water security technology can reduce agricultural water use.
Water security technology can reduce agricultural water use.Image: Steve Harvey on Unsplash
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  • ラテンアメリカの一部の都市では、現在、給水制限が実施されています。

  • 200社を超える企業がCEO水マンデートに署名し、2030年までにウォーターポジティブを実現することを約束して、使用量を上回る水を還元するための投資を行っています。

  • この水資源補償モデルは、農家が農産物の生産に影響を与えることなく水の使用量を減らせるよう、効果的に支援しています。

国連の持続可能な開発目標6(SDG 6)は、世界の水の安全保障の実現を目指すもので、今年は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)や国連水会議など、世界的な会合で焦点となりました。2030年が目前に迫り、その時までに世界人口の半数が安全な水を安定して利用できなくなると予測されているためです。

メキシコのモンテレイを含むラテンアメリカの一部の都市では、2022年、市民と産業企業を対象とする初の給水制限プログラムが実施されました。チリのサンティアゴなど他の都市では、乾燥した冬に備え、初の給水制限プログラムが計画されました。

こうした状況で生じた経済的損失や社会的な対立を受け、企業は2030年までにウォーターポジティブな組織になることを約束しています。これは、事業を行う特定の流域において、自社の使用量を上回る水を補充するために投資することを意味します。240社を超える企業がCEO水マンデートに対する取り組みを表明しており、その動きは続いています。

水の安全保障に向けて:ウォーターポジティブの目標を掲げる企業が大幅に増加しています。

ウォーターポジティブの実現に向け、水の安全保障に投資する適切な時期とは?

世界的な課題の解決は、水の安全保障から始めなければなりません。農業における水の利用効率を高めることは、水の安全保障という課題に取り組む第一歩です。

途上国では農業が淡水の約80%を消費しているため、まず農業から取り組むべきです。さらに、既存のテクノロジーを用いてデータに基づく判断を行えば、農家は効率を20%高められることが複数の研究で示されています。しかし、この業界ではテクノロジーの導入が非常に遅れており、これまでのところ、灌漑の時期や水量を決めるためにデータツールを使っている農家はわずか12%です。

こうした課題に対応するため、気候テクノロジー企業(クライメートテック企業)のKilimoは、テクノロジーを活用して水の利用効率を高めようとする農家と、ウォーターポジティブの取り組みを約束し、その節水に対価を支払う意思のある民間企業を結びつけるモデルを開発しました。これによりKilimoは、テクノロジーを活用して節水する農家に経済的な補償を行う、ラテンアメリカ初の企業となりました。農家の灌漑慣行に長期的な変化をもたらし、ラテンアメリカの流域における水の安全保障に貢献しています。

節水に取り組むマイポ川流域の農家に報酬を支払う

サンティアゴ・デ・チレのマイポ川流域で実施中の2つの補償プロジェクトを見てみましょう。国際的に評価の高いテクノロジー企業が資金を提供しています。以下は、これまでに得られた成果です。

導入

優れた慣行を守ることへの金銭的報酬により、テクノロジーの導入が促進されました。下のグラフは、補償プロジェクト開始前の2021年にKilimoのテクノロジーでモニタリングされていた面積と、2022年にプロジェクトが始まった後の急激な増加を示しています。主に水に加えて、エネルギーや肥料などの資源を最適化でき、それに対する経済的インセンティブも得られる可能性が、農家が新しいテクノロジーを試す意欲を大きく高めています。

農業における水の利用効率を高めることは、水の安全保障という課題に取り組む第一歩です。

活用

農家への経済的補償は、優れた慣行の遵守を条件としているため、そうした約束を果たすためにテクノロジーを活用する度合いが高まります。下の図は、隣接する2つの流域、マイポ地域とオイギンス地域におけるKilimoの農家を比較しています。補償プロジェクトに参加しているマイポ地域の農家は、参加していないオイギンス地域の農家に比べ、テクノロジーとサービスの利用度が10%高いことが示されています。

隣接する2地域におけるKilimoの農家の比較。プロジェクト実施中のマイポ地域と、プロジェクトのないオイギンス地域。

効率

2022年、Kilimoはビッグデータと人工知能に基づく推奨を通じて720億リットルの水を節約しました。これは、サンティアゴ・デ・チレの全人口が2か月間に消費する水量に相当します。さらに、実施中のプロジェクトがまだ進行している段階で、Kilimoは5か月間の取り組みで、すでに35%の節水を達成しました。

2022年9月から2023年1月までに達成した節水量

この事例は、経済的インセンティブによって農家のテクノロジー導入を大きく促し、より効率的な灌漑判断につなげられることを示しています。ただし、インセンティブだけでは十分ではないことを強調する必要があります。プロジェクトを成功させるには、農家の地域ごとのニーズに合わせた技術支援と個別のサポートが欠かせません。

ここで紹介したような大胆な戦略と革新的なモデルが必要です。地域社会にできるだけ早く影響をもたらす分野へ、人材と経済資源を振り向けるためです。したがって、適切なインセンティブを通じて農業による流域保護を加速することは、2030年までにラテンアメリカの流域で水の安全保障を実現する世界的な機会となります。

Kilimoは、UpLinkとHCL Groupが主催する「グローバル淡水チャレンジ」の受賞企業です。

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このスタートアップ企業はAIを使って水の安全保障を守る
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