森林破壊への取り組み―企業が「ランドスケープ」アプローチを採用すべき4つの理由

An aerial view of a dirt road in the middle of a forest in Trinidad and Tobago: The effectiveness of the landscape and jurisdictional approach to deforestation lies in collaboration.
The effectiveness of the landscape and jurisdictional approach to deforestation lies in collaboration.Image: Unsplash/Renaldo Matamoro
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  • 従来の方法では森林破壊を大幅に抑制できていませんが、ランドスケープおよび管轄区域アプローチなら、持続可能な土地利用を実現し、必要な速度と規模で森林破壊を食い止められる可能性があります。

  • ランドスケープおよび管轄区域アプローチの有効性は協働にあります。持続可能なコモディティ生産を確保し、構造的な問題に取り組むため、企業は地方政府、小規模農家、先住民族と協力しなければなりません。

  • ランドスケープおよび管轄区域アプローチを採用することで、企業は新たな規制を順守し、自主的なコミットメントを果たし、持続可能なサプライチェーンを確保できます。

都市や、固有の森林がすでに失われた国に暮らす人々の多くは、次のような見出しを見ても、感覚が鈍くなっているかもしれません。毎分、サッカー場1面分のアマゾン森林が失われているしかし、驚くべき統計があります。牛肉、パーム油、大豆、カカオ、コーヒー、ゴム、木材繊維など、私たちが食べ、消費したものによって、7,190万ヘクタールの森林が失われました。2001年から2015年までのことで、ドイツの面積の2倍に相当します。

それ以来、森林破壊の速度はほとんど鈍化していません。昨年は、熱帯の原生林が370万ヘクタール失われ、24億トンの排出につながりました。さらに、森林地への生産圧力も考慮すべきです。2050年までに世界の食料需要は30~62%増加すると予測されているからです。森林喪失の規模は、それに見合う規模の対応を求めています。この深刻な傾向を逆転させるため、企業に何ができるでしょうか。

誓約を実践に移す―気候、自然、そして人々の暮らしがかかっている

森林破壊への道は、善意で敷き詰められています。2014年、ニューヨーク森林宣言は2020年までに森林破壊率を半減させると誓約しましたが、目標の見直しを余儀なくされました。2021年にグラスゴーで開催された国連気候変動会議(COP26)では、141カ国が「2030年までに森林喪失を食い止め、回復させる」ことに合意しました。一方、民間部門では、運用資産が8兆7,000億ドルを超える30以上の金融機関からなるグループが、2025年までにポートフォリオから森林破壊を排除することを約束しました。

しかし、最新のForest 500報告書によると、「一部で進展が見られるものの、民間部門の自主的な取り組みは、コモディティ生産に起因する森林破壊に対して意味のある進展を生み出せていない」とされています。

失敗のリスクは計り知れません。森林喪失を回復させなければ、パリ協定の目標を達成できません。自然なくしてネットゼロは実現しないという認識が広がっています。

森林の役割は炭素を吸収することだけではありません。森林には、世界の陸上生物多様性の半分以上が生息し、地下水を涵養し、空気を浄化し、肥沃な土壌を支え、洪水を防ぐ役割もあります。同時に、15億人が森林に依存して食料、水、燃料を得ています。気候、自然、人々の暮らし、そして権利がすべて危機にさらされています。

農産物の安定供給が収益を左右する企業にとって、持続可能なサプライチェーンは優先課題です。一方、欧州連合森林破壊防止規則(EUDR)の施行に伴い、ますます厳しくなる規則を順守できなければ、訴訟や罰金(EUDRの場合は売上高の4%)のリスクがあります。企業が自主目標を達成できなければ、取締役会は評判や投資家の信頼が損なわれることを懸念するでしょう。

ランドスケープアプローチ―新たなパラダイム

2030年の森林破壊目標の達成状況が問われる時期まで、残された年数はわずかです。新たなアプローチが早急に必要です。熱帯林同盟が発表した詳細な報告書(TFA)は、企業、国、地域社会が協力し、必要な速度と規模で森林破壊と森林転換を食い止める方法を解説しています。

この報告書は、持続可能な土地利用を実現する新たなパラダイムを取り上げています。その名称は課題そのものと同じくらい複雑な「ランドスケープおよび管轄区域アプローチ」です。

このアプローチのランドスケープ部分は、企業の狭い利害から、農家やサプライヤーと協働して生産が行われるランドスケープ全体、あるいは地理的区域全体に好影響をもたらすことへと焦点を移します。このアプローチでも、企業とサプライヤーはコミットメントを掲げ、それを守る必要があります。それに加え、生産の範囲を超えて森林を保護し、ランドスケープ全体の小規模農家を支援することも企業に求めます。

一方、このアプローチにおける管轄区域の規模とは、対象となるランドスケープおよび管轄区域に、国の下位行政区分である州や地域を含められることを意味します。森林保護において土地利用計画、ガバナンス、法執行を担う地方政府の、かけがえのない役割を認識するものです。

協働―影響力を引き出す鍵

近年、ランドスケープおよび管轄区域アプローチは勢いを増しています。TFAの報告書で紹介された調査によると、カカオ、パーム油、パルプ・紙、牛肉、大豆の各分野で、110社を超える企業がランドスケープ規模の取り組みを進めています。企業が支援するランドスケープおよび管轄区域アプローチのイニシアチブ数は、2022年までの6年間で7倍に急増しました。

ランドスケープおよび管轄区域アプローチが企業の森林破壊対策に大きな効果を発揮できる理由は、使い古された感もある、魔法のような一語にあります。それは「協働」です。このアプローチは、地域の支持と協働によって長期的な効果が生まれる可能性が高まるという考えに基づいています。さらに、企業の管理が及ばず、地域社会や政府にしか影響を与えられない要因もあります。

したがって、コモディティを調達する企業が悪影響ではなく好影響をもたらすには、そのランドスケープまたは管轄区域に関わる主体と協働する必要があります。相手は地方政府の職員や非政府組織(NGO)から、サプライヤー、小規模農家、先住民族まで多岐にわたります。それぞれの主体は異なる利害を代表しますが、協力することで、そして協力してこそ、その地域でコモディティを持続可能かつ継続的に生産できるのです。

昨年は1分間にサッカー場11面分の原生熱帯林が失われた。
昨年は1分間にサッカー場11面分の原生熱帯林が失われた。
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企業がランドスケープアプローチを採用すべき4つの理由

制御されない森林破壊は、気候、自然、社会に甚大なリスクをもたらします。それに加え、サプライチェーンから森林転換を排除することは、企業の商業上、法的、評判上の利益にもかないます。自主的なネットゼロや森林破壊に関するコミットメントの達成、新たな規制の順守、農産物の継続的な供給確保のいずれを目指す場合も同様です。

では、企業が継続中の(そして必要な)サプライチェーン対策を補完するために、ランドスケープおよび管轄区域アプローチを採用すべきなのはなぜでしょうか。理由は4つあります。

1. コンプライアンスを単独で確保するのは難しすぎる

コミットメントや規制の順守を保証することは複雑な課題であり、特にカカオやパーム油のサプライチェーンでは、何百万人もの小規模農家が関わる場合があります。森林破壊、土地保有権、法執行、先住民族や地域住民の権利など、構造的な課題に取り組むには、現場の幅広い主体との協働が必要です。それぞれの主体が、システムの異なる部分に変化をもたらすことができます。

2. 協働して大規模な効果を実現する

持続可能なパーム油、カカオ、木材に関する自主的な認証が対象とするのは、世界の生産地域の10~20%にすぎません。2030年が近づくなか、大規模に成果を上げることが最優先課題です。企業は、ブラジルのマットグロッソ州全域で実施されている「生産・保全・包摂」プログラムのような地域の制度やイニシアチブと連携することで、ランドスケープおよび管轄区域アプローチを通じて影響力を高められます。

3. 調達ネットワークを多様化し、事業の将来に備える

ランドスケープおよび管轄区域アプローチにより、企業はサプライチェーンからランドスケープへと視野を広げ、個々の生産者を超えてサプライヤーのネットワーク全体と関わる機会を得られます。熱帯雨林にたとえるなら、生産者の根系が深く多様であるほど、コモディティ供給の木は強く、持続可能になります。

4. 重複を減らし、効率を高める

資源を共有し、知識を分かち合うことで、企業は取り組みの重複を避けながら、時間と費用を節約できます。ランドスケープおよび管轄区域アプローチは、基準の低い買い手に悪質な事業者が乗り換えるのを防ぎ、「リーケージ」を減らします。また、EUDRの意図しない影響も緩和します。そうしなければ、買い手が小規模農家との取引をやめ、より規模が大きく規制を順守しやすい生産者を選ぶ可能性があります。

森林保護において、ランドスケープ規模で多様な主体が協働することが新たな方向性となっており、その動きは勢いを増しています。すでに110社を超える大手企業に加え、生産国の政府、NGO、何千もの農家がランドスケープおよび管轄区域アプローチに取り組んでいます。ランドスケープアプローチは、農産物に起因する森林破壊を食い止め、回復させるための最善の機会です。

TFAの報告書全文はこちらからお読みいただけます。管轄区域アクション・ネットワークとの共同刊行で、パートナーのProforestおよびCDPの支援を受けています。大規模な持続可能な土地利用に向けた共同取り組みにおける企業の行動。

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