グローバル化は搾取的ではなく、包摂的でなければならない。多国籍企業は模範を示せる

Regional imbalances threaten the long-term future of globalization.
Regional imbalances threaten the long-term future of globalization.Image: Getty Images
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  • グローバル化は世界貿易を促進してきたが、不均衡がその将来の正当性を脅かしている。

  • 多国籍企業は、富の公平な分配を優先する地域密着型の戦略を率先して推進すべきだ。

  • 長期的な関係を育むことで、成長とともに社会面・環境面の利益ももたらされる。

グローバル化は世界を一変させ、前例のない経済成長をもたらした。各国の相互連携が深まるなか、1995年から2023年にかけて世界貿易は年平均5.8%成長した。

しかし、グローバル化には課題もある。利益はしばしば不均等に分配され、地域間の発展格差を広げ、先進国と途上国の不均衡を深刻化させている。

先進国は恩恵を受ける一方で、いくつかの不利益も経験してきた。施設がより低コストの地域へ移転したことで、海外移転は一部の国の製造能力を空洞化させた。「英国イノベーション報告書2025」によると、G7諸国を合わせた世界の製造品輸出シェアは、2000年の51.9%から2022年には30%へ低下した。この落ち込みは雇用の喪失とサプライチェーンの弱体化を招き、経済安全保障への懸念を強めた。

途上国では、低付加価値の製造業が経済成長と雇用機会を支えている。しかし、こうした国々が産業チェーンの低位にとどまり、成長の可能性を制限されないようにするには、長期的な視野が欠かせない。

中核技術の生産と高付加価値の研究開発が先進国にとどまれば、製造拠点はバリューチェーンの上位へ移るのに苦労する可能性がある。例えば、ベトナムやマレーシアを含む東南アジアの一部の国々は電子機器の生産拠点となったが、中核技術分野ではほとんど進展していない。

こうした不均衡は、グローバル化の正当性と持続可能性を脅かしている。ここで大きな違いを生み出せるのが、多国籍企業(MNC)だ。

すべての人に恩恵を

関税や地政学的緊張によってサプライチェーンが混乱したり、方向転換を迫られたりするなか、国際貿易は大きな調整期を迎えている。しかし、こうした激変にもかかわらず、グローバル化が弱まる可能性は低い。歴史が示すように、最も困難な紆余曲折も、その前進を止めることはできない。

世界各地の経済が再編されるなか、多国籍企業は中長期計画を見直す必要がある。より意図的で十分な情報に基づくアプローチを取り、効率性と公平性のバランスが取れた方向へグローバル化を導く好機を生かすべきだ。グローバル化は搾取的ではなく、包摂的でなければならない。

成長と効率性だけでなく公平性も優先すれば、利益を広く分かち合い、いわゆる「潮が満ちればすべての船が浮かぶ」状態を実現できる。

なぜグローバル化は圧力にさらされているのか?
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地域に目を向け、能力を築く

公平なグローバル化という長期目標を達成するには、今、適切な戦略を実行する必要がある。

地域密着は極めて重要だ。多国籍企業は、中核的な能力と研究開発を分散させ、現地市場に機能を設けることで、地域社会との共生をさらに深められる。

TCLの地域密着戦略は、主要市場や地域に複数の段階からなる産業チェーンを構築し、「ウィンウィン」の成果を上げてきた。例えば、ベトナムにパネルディスプレイモジュール工場を建設し、現地のテレビ製造施設に供給している。このサプライチェーンの一部を現地に置くことで、産業エコシステムを多様化し、同国の技術力向上を後押ししている。東南アジアと北米の市場に供給するベトナム最大の工場は、年間800万台のテレビを生産する能力を持ち、その生産額は10億ドルに上る。

ポーランドでは、知能型製造拠点が年間500万台の生産能力を持ち、研究開発センターも備えている。欧州大陸の中心で産業チェーン全体を現地化し、TCLの欧州での収益を大幅に伸ばすことに貢献している。

もう一つの重要な手段は、合弁事業や技術移転などを通じて産業能力を構築することだ。協業は企業の安定と受入国の産業転換を支え、地域社会の雇用や政府の税収を押し上げる。

単なる事業目標を超えて、信頼と協力を育む長期的な関係は、数値化しにくくとも持続的な価値を持つ形で相互の成長を促す。私たちの経験は、その好影響を示してきた。例えば、アルゼンチンの家電・民生用電子機器企業Radio Victoriaとの20年にわたる提携を通じて、同社の現地に関する専門知識や市場知識を活用できる一方、同社は技術導入を進め、製品ポートフォリオを拡充できている。

さらに、多国籍企業は事業を展開する国々に社会的・環境的価値をもたらさなければならない。「2024年EYアフリカ投資魅力度レポート」によると、2023年には海外直接投資によってアフリカ全土で194,000人の雇用が創出された。「IBM、Hewlett-Packard、Google、Microsoftなどの多国籍企業は、アフリカをビジネスおよびテクノロジーサービスの新興拠点にすることに貢献している。

多国籍企業による地域社会への投資は、雇用創出にとどまらず、持続可能性を最優先課題とすることができる。環境に配慮した低炭素生産と持続可能な開発への確かな取り組みは、責任ある事業戦略に欠かせない要素だ。

オリンピック精神

国際社会を象徴する最も偉大な存在は、おそらくオリンピックだろう。TCLはワールドワイド・オリンピック・パートナーとして、責任あるグローバル化への取り組みを一層推進している。このパートナーシップは、持続可能なグローバル化には、効率性と成長を公平性、平等、環境保護と両立させる必要があるという私たちの考えに沿うものだ。

当社は環境配慮型の製造工程を導入し、国際オリンピック委員会の持続可能な開発目標に沿って、炭素排出量と水使用量の削減に取り組んでいる。また、ジェンダー平等と包摂の推進にも努めている。例えば、TCLは2018年から、世界的なバスケットボール統括団体であるFIBAと提携している。これまで2,000を超える大会を支援するとともに、さまざまな活動を通じて、学齢期の女子選手をさらに多く採用するというFIBAの取り組みも支援してきた。

オリンピックと同じように、多国籍企業には、地域社会と世界的な目標を結びつける独自の立場がある。地域とのパートナーシップを育み、地域社会の力を高め、環境・社会面の責任を果たすことで、世界の変革を主導できる。

地域密着と長期的な視野を取り入れることで、企業はグローバル化を包摂的で持続可能な進歩につなげられる。今日の起業家の使命は、利益を公平に分配し、すべての人に恩恵をもたらす新たな時代へとグローバル化を導くことだ。

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