2025年の国際会議では、食料システムと農家の役割が主要議題となる。
インドの経験は、官民連携が持続可能な食料システムの促進にいかに重要な役割を果たすかを示している。
農家が役割を果たすよう促すには、レジリエンス、資源、報酬が欠かせない。
過去30年にわたり、同僚やパートナーとともに、世界の開発に関する議論で農家の声が反映されるよう働きかけてきた。再生可能エネルギー技術やAI規制がしばしば注目の中心となる一方、持続可能な農業における目覚ましい進展は、ときに見過ごされてきた。
しかし、2025年は違う。食料システムがついに、次のような主要な国際会議で中心的な議題となる。国連食料システムサミット、そしてCOP30気候変動会議だ。農家の仕事にどうインセンティブを与え、持続可能な農業の影響をどう評価するかを考え直す時が来た。農家が議論の席に着いた今こそ、食卓に食料を届けることにも報いるべきだ。
私が持続可能な農業に取り組み始めたのは、インドが大きな不安定さに直面していた1970年代だった。干ばつや飢饉が農家の命と生計を脅かしていた。当社UPLは農家と緊密に協力し、そのニーズを理解し、農法の向上につながる製品を開発することで、国内の農業生産性の強化に重要な役割を果たした。
政策環境は、インドの農業部門の変革に大きく寄与した。かつて飢饉に苦しんだ同国の食料システムは、今や世界最大級で信頼性の高い輸出国の一つとなっている。この変化の鍵となったのが緑の革命だ。政府は食料安全保障を確保し、国内需要を満たすだけの作物を農家が栽培するよう促す政策を実施した。
しかし、コメ、小麦、サトウキビなど主要作物の栽培には新たな課題もある。作物の多様性が乏しいと、食料システムは干ばつ、害虫、病気に対して脆弱になりかねない。こうした障害を乗り越えるため、農業部門は学び、変化する環境に適応しなければならない。
今日、インドは現代の課題に取り組むため、民間部門と連携している。官民連携(PPP)は、持続可能な農業に広範な変化をもたらすうえで効果を上げてきた。私が世界経済フォーラムの共同議長を務めるフード・アクション・アライアンスを通じて、国内の持続可能な砂糖のバリューチェーンを構築し、作物多様性の喪失による問題に対処するため、砂糖生産者と協力してきた。
インドは、農家が持続可能な慣行を取り入れ、作物を多様化し、急速に変化する気候に適応できるよう、食料システム政策の革新を続けている。同国の農業の飛躍的発展は他国に重要な教訓をもたらす。今年、農業が世界の開発に関する議論で重要な役割を担うことを考えれば、なおさらだ。この議論では、レジリエンス、資源、報酬という三つの重要分野に焦点を当てるべきだ。
近年の商品市場の変動は、こうした変化の必要性を浮き彫りにしている。コーヒーはその典型例だ。アラビカ種の豆の価格は過去1年間で80%以上上昇した。商品が強気相場になれば、農家はその恩恵を受ける。しかし、周期的な好況と不況を避けるには、価格、気候、貿易の変動が長期的に拡大するなか、あらゆる作物の栽培者のレジリエンスを高める仕組みや手段が必要だ。
これを実現するには、豊作の年と休耕の年の間で、より安定した予測可能性を確保できる適切な資源が農家に必要だ。一つの解決策は、政府、食料システムの関係者、金融機関が連携し、指数連動型マイクロ保険へのアクセスを改善することだ。こうした保険は、天候リスク、価格変動、種子の不発芽を補償し、小規模農家を不確実性から守るとともに、気候変動に配慮した種子や作物保護製品への投資を促す。
官民連携は、従来の政策決定の場の外でも、栽培者が持続可能な方法で作物を育てる助けとなる。私たちは、食料のファースト・ムーバーズ連合を立ち上げた。これは、高排出部門からの排出削減を目指す世界経済フォーラムの取り組みだ。2025年までのネットゼロ達成という共通目標のもと、この連合は持続可能な方法で栽培された作物と生産された食品を調達することを約束している。すぐに利用できる市場を通じて、農家に需要のシグナルを送り、食料生産の脱炭素化に役立つ慣行の導入を促す。
別の戦略として、農家が栽培する作物を別の作物へ転換する方法がある。ザンビアでは政府や農家と緊密に協力し、干ばつに弱いトウモロコシなどから、気候ストレスの厳しい環境に適した、より耐性の高い作物であるソルガムへの転換を進めてきた。官民連携なしには実現できなかった取り組みであり、フード・アクション・アライアンスや食料のファースト・ムーバーズ連合のようなプログラムが、他の地域でもレジリエンスの高い作物の市場をつくることで、同様の作物多様化計画を推進できることを示している。
この移行では報酬が重要な役割を果たす。過去20年間に再生可能エネルギー分野で革新が爆発的に進んだ背景には、投資を促す呼び水となる政策、補助金、規制緩和があった。農業を真に持続可能なモデルへ移行させるには、政府と農家が連携し、同様のインセンティブを検討すべきだ。時代遅れの規制が革新を妨げず、持続可能な慣行が報われるようにする必要がある。
他の部門で効果を上げたインセンティブや保護策を活用し、農家が新たな緑の革命を主導できるよう力を与える必要がある。