発展途上国はテクノロジー目標の達成に苦戦している。共有デジタルインフラが解決策となる

Building digital infrastructure in proximity to renewable energy resources is crucial.
Building digital infrastructure in proximity to renewable energy resources is crucial.Image: Reuters/Marlene Rabaud
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  • 新興国では、デジタル変革に必要なエネルギー供給や資源が不足していることが多い。

  • 地域でデジタルインフラを共同利用すれば、こうした不足を解消するとともに、デジタル主権を強化できる。

  • 再生可能エネルギー資源の近くにデジタルインフラを整備することが極めて重要だ。

デジタル時代は、経済の発展と社会の進歩に大きな可能性をもたらす。しかし、エネルギーが不足する新興国にとって、この可能性は手の届かないものに見えることが多い。電力供給の不安定さや資源の乏しさという厳しい現実が、デジタル化への意欲に重くのしかかっている。それでも、私が共有デジタルインフラ(SDI)と呼ぶ戦略には希望の光がある。この協力モデルは、こうした障壁を成長の機会へと変える力を持つ。東南アジア諸国連合(ASEAN)、アフリカ連合(AU)、カリブ共同体(CARICOM)などの地域組織や国同士の連携を通じて協力すれば、これらの国々は課題を抱えながらも、デジタル技術の革新的な力を活用できる。

デジタル経済は世界のGDPを押し上げる重要な原動力であり、人工知能、電子商取引、金融テクノロジーの革新が、かつてない速さで産業を変革している。この変革の中核を担うのがデータセンターだ。デジタルサービス、クラウドコンピューティング、AIを活用したアプリケーションの基盤となっている。しかし、多くの発展途上国は、エネルギーコストの高さ、送電網の信頼性不足、投資資金の不足から、こうした施設の建設や維持に苦慮している。

堅牢なデジタルインフラがなければ、発展途上国は世界貿易を変えつつある技術革新から取り残される恐れがある。これらの地域の企業は、クラウドコンピューティングサービスの利用、電子政府の取り組みの導入、デジタル起業の拡大に課題を抱えている。さらに、国内にデータセンターがないと外国企業への依存が高まり、データ主権やサイバーセキュリティ、コスト効率をめぐる懸念が生じる。

現実的な地域協力

各国がそれぞれ独立したデータセンターの建設と維持を目指す代わりに、SDIは持続可能な選択肢となる。複数の国が資源を持ち寄れば、複数国で利用できる地域データハブ、共同サービス施設、クラウドストレージセンターを整備でき、各国が個別に抱えるコスト負担やエネルギー制約を緩和できる。

1. 拡大するASEANのSDI

ASEAN地域では、「ASEANデジタル・マスタープラン2025」などの取り組みを通じて、デジタル統合がすでに進展している。こうした取り組みを地域共有データセンターに広げれば、ASEANは加盟国のニーズに合わせたクラウドサービスを提供し、企業や政府が信頼性と費用対効果の高い計算能力を利用できるようにできる。さらに、ラオスの水力発電やインドネシアの地熱エネルギーなどの再生可能エネルギーを活用すれば、エネルギー集約型の施設を支え、化石燃料への依存を減らせる。

2. 大陸規模のデジタル統合を目指すアフリカ

アフリカのデジタル変革は、インターネット接続の不安定さと信頼性に欠けるエネルギー供給によって妨げられてきた。「アフリカ連合のデジタル変革戦略」はデジタルインフラの必要性を強調しており、地域データセンターの共同整備は状況を一変させる可能性がある。モロッコの太陽光、エチオピアの水力発電、南アフリカの風力発電所など、安定したエネルギー資源がある地域に施設を戦略的に配置すれば、AUはエネルギー制約を克服しながら、公平なデジタルアクセスを確保できる。

さらに、SDIはアフリカで拡大するフィンテック・エコシステムを支え、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)における貿易を促進し、電子政府ソリューションを通じて政府のサービス提供を改善できる。

3. CARICOMのデジタル飛躍

カリブ海諸国にとって、デジタル変革は経済のレジリエンスを高める重要な手段であり、気候変動の影響を特に受けやすい地域ではなおさらだ。CARICOMは地域クラウドソリューションを推進し、小島嶼国が個別のデータセンターに伴う高コストを負担せずに、高度な計算資源を利用できるようにする可能性がある。陸地面積が限られ、ハリケーンにさらされやすいことを踏まえると、複数国にまたがってデータを分散保管することで、セキュリティと事業継続計画を強化し、自然災害に直面してもデータのレジリエンスを確保できる。

デジタル公共インフラ
デジタル公共インフラ
03:12

再生可能エネルギーによるデジタルインフラの変革

強固なデジタルインフラは、信頼できる持続可能なエネルギー源を基盤とする。特に、大量のデータを扱うデータセンターでは不可欠だ。再生可能エネルギー資源が豊富な国々は、そのエネルギーを活用してデジタルインフラを維持し、運用コストと炭素排出量を最小限に抑えることができる。発展途上国でデータセンターの成長を妨げる大きな障壁の一つは、電力供給の安定性だ。データセンターはエネルギー消費量が大きいため、継続的な稼働には安定した電源が必要となる。SDIは、再生可能エネルギーを利用できる地域にセンターを設置することでこの問題に対処し、複数の国に利益を分配できる。

ブラジルとパラグアイ

イタイプダムは世界最大級の水力発電所の一つで、ブラジルとパラグアイの両国にクリーンエネルギーを供給している。安定した再生可能エネルギー源として、データセンターやデジタルインフラを支えることができる。

エチオピア

大エチオピア・ルネサンスダム(GERD)はアフリカ最大の水力発電プロジェクトで、6,000 MWを超える電力を発電すると見込まれている。エチオピアで拡大するデジタル経済への電力供給やクラウドサービスの支援に加え、グリーンエネルギーの解決策を求める世界のテクノロジー企業を誘致できる可能性がある。

コンゴ民主共和国(DRC)

インガダム群は、特に計画中のグランド・インガ・プロジェクトが実現すれば、設備容量が40,000 MWを超える世界最大の水力発電所となる可能性がある。これにより、DRCと近隣諸国は主要なデータハブへと変わり得る。

タジキスタンとキルギス

中央アジアには膨大な水力発電の潜在力があり、タジキスタンのヌレークダムとキルギスのトクトグル貯水池が再生可能エネルギーを供給している。これらの国々は水力発電を利用したデータセンターを整備し、地域内外で高まるデジタルサービス需要を取り込める。

SDIの利点

地域データセンターに投資すれば、発展途上国は外国のクラウドサービスへの依存を減らし、デジタル主権とデータセキュリティを向上できる。データを国外の管轄区域に保管すると、自国の政策に合致しない複雑な規制への対応を迫られることが多い。地域単位の取り組みなら、地域の関係者がデジタルガバナンスを形づくり、経済的な自己決定を促せる。

さらに、SDIはデジタル貿易を促進する。発展途上国で事業を営む企業は、遠隔地でホストされているクラウドサービスを利用する際、遅延や高いデータ通信コストに直面することが多い。地域データセンターはデジタルサービスの性能を高め、コストを削減し、地域のイノベーションを促進することで、新興市場の世界市場における競争力を高める。

エネルギーが不足する新興国にとって、デジタル変革への道は、国同士および地域の協力にある。ASEAN、AU、CARICOMなどの組織は、SDIの整備を主導し、デジタル時代にどの国も取り残されないようにしなければならない。地域データセンターと共同サービス施設は、進展を妨げることの多い資金面とエネルギー面の制約を緩和する、実用的で持続可能な解決策となる。協力することで、発展途上国は貿易、イノベーション、包摂的な経済成長を促すデジタル・エコシステムを築くことができる。

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