世界の債務残高が増加している。どれほど懸念すべきか?

High levels of global debt are already having an impact on stability.
High levels of global debt are already having an impact on stability.Image: Unsplash
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  • 公的債務の水準は、持続がますます困難になっている。

  • 最新のチーフ・エコノミスト見通しによると、経済学者らは債務水準を安定した経済見通しへの重大な脅威とみている。

  • 4人のチーフエコノミストが、現在の公的債務の推移がもたらし得る影響について見解を寄せた。

世界各国のソブリン債務の水準がマクロ経済の安定を損なっていると経済学者らは警告している。政府財政の逼迫は、とりわけ途上国に特有のリスクをもたらすとの指摘も多い。

国連貿易開発会議(国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、現在、債務返済費用が歳入総額の10%を超える途上国は50か国以上に上る。さらにUNCTADは、教育や保健よりも債務利払いに多くを費やす国々に、33億人が暮らしていると推計している。

高水準の債務はすでに世界各地の安定に影響を及ぼしている。例えばケニアでは、政府が増税を試みた後、今夏、死者を伴う抗議デモが発生した。政府は債務危機の緩和を図ろうとしていたが、その危機では利払いが膨らみ、政府歳入総額の約60%を占めるに至っていた。

チーフエコノミストによる2024年の見通し:高水準の債務
チーフエコノミストによる2024年の見通し:高水準の債務
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世界経済フォーラムが発表した最新のチーフ・エコノミスト見通しによると、調査対象となったチーフエコノミストの過半数は、公的債務が先進国(53%)と途上国(64%)の双方でマクロ経済の安定を脅かしていると考えている。さらに、チーフエコノミストの約40%は、今後1年間に途上国で債務不履行が増加すると予想している。

「今後1年間を見据えると、回答者の過半数は、現在の債務動向が成長を促す政府の取り組みを損ない、各国を次の景気後退に十分備えられない状態にすると指摘している」と報告書は述べる。さらに、「多くの国が置かれている厳しい財政状況から、エネルギー転換、人口動態の変化、変化する国家安全保障上のニーズなど、進行中のさまざまな構造変化への準備に苦慮する可能性が高い」と付け加えている。

債務状況を受け、経済学者や政策立案者は、とりわけ危機時における債務救済の仕組みを検討している。例えば今月、スペインは債権者に対し、災害発生中に途上国が債務返済を停止できる「一時停止条項」を盛り込むよう求めたと、フィナンシャル・タイムズが報じた。この動きは、7月にハリケーンが同国を襲った後、グレナダが債券の支払いを停止するために世界で初めて一時停止条項を利用したことを受けたものだ。

現在の債務動向をより深く理解するため、世界経済フォーラムはチーフエコノミストに、公的債務の推移が及ぼす影響について見解を求めるとともに、財政逼迫の可能性が政府、企業、家計にどのような影響を与えているか詳述するよう依頼した。

寄せられた見解を紹介する。

インデルミット・ギル、世界銀行、米国

「世界経済の成長は安定化しつつあり、インフレは鈍化し、世界の金利もようやく低下している。しかし、こうした状況で、10年以上かけて積み上がった問題が解決するとは考えにくい。途上国の債務は、投資を抑制し、保健や教育といった不可欠なニーズから資源をそらす水準に達している。

世界経済は「より良い均衡状態に落ち着きつつある」と、世界銀行の専門家は述べている。
世界経済は「より良い均衡状態に落ち着きつつある」と、世界銀行の専門家は述べている。
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「救済がすぐに実現する可能性は低い。2023年末時点で、途上国の公的・民間債務の合計はGDP比206%に達し、2010年の平均のほぼ2倍となった。政府と企業の資金調達コストは、パンデミック前より高い水準にとどまるだろう。米国の実質金利は2025年と2026年に平均1.5%になると予想され、2010年から2019年のマイナス1.2%から大きく変化する。現在、途上国のほぼ3分の2で債務は増加傾向にある。多くの新興市場国の政府は国内で借り入れ、為替リスクから公的財政を守る一方、民間部門の信用を奪ってきた。最も大きな危険にさらされているのは、海外から借り入れざるを得ない最貧国だ。そうした国々にとって、債務危機のリスクが『低い』ということはあり得ない。

「富裕国は目をそらすべきではない。低所得国および下位中所得国には40億人が暮らしており、そうした国々の経済不振は必然的に波及する。近年、最貧国にとって重要な命綱となってきた世界銀行の国際開発協会(IDA)への資金補充は、よい第一歩となる。債務再編を加速させる多国間の取り組みも同様だ。そしてG20とブレトンウッズ機関、すなわちIMF、世界銀行、WTOは、世界の貿易・投資関係における破壊的な悪循環を食い止める方法を早急に見いださなければならない。」

ポール・ドノバン、UBSグループ、スイス

「構造変化は経済的・社会的な混乱を引き起こしており、政府はその緩和を図っている。また、安全保障上の不安から防衛支出の増加が必要になっている。これらを踏まえると、今後、政府は経済においてより大きな役割を担い、債務水準も近年より高くなるだろう。それでも、ほとんどの先進国の債務水準は、現時点で懸念すべき状況にはない。多くの国では、20世紀に現在より高い債務比率を経験している。

「しかし、政治的分極化の進行は財政の持続可能性に課題をもたらす。無秩序な市場に脅かされている国は現時点では少ない(英国のトラス政権をめぐる短期間の混乱を除く)ものの、歴史的に見て高い水準であっても、債務比率を安定させる能力を示す必要がある。そのために必要な政治的妥協を実現する難しさは、投資家の懸念を強めている。

「民間投資が圧迫されるという懸念は、行き過ぎのようだ。構造変化によって国の資本ストックの活用効率が高まるなか、民間投資の定義を見直す必要がある。例えば、在宅勤務はオフィス空間への投資を減らす。より大きなリスクは、政治の停滞によって政府支出の配分が持続不可能な形で歪められることだ。財政拡大時の経済効率が低下し、持続不可能な状態が制約となった際には、より厳しい財政引き締めが必要になる。

世界経済に対する3つの希望と懸念:世界の主要エコノミストによる見解
世界経済に対する3つの希望と懸念:世界の主要エコノミストによる見解
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トマス・カスタニーニョ、アクセンチュア、アルゼンチン

「インフレの低下と金融環境の緩和により世界経済の見通しは明るさを増しているが、公的債務には引き続き注意が必要だ。政府支出はパンデミック前の水準を上回り、多くの国で力強い成長を取り戻すのは難しい。債務対GDP比を抑えるため、政府は赤字削減と持続可能で包摂的な成長の促進を両立させる難しい課題に直面している。

「他の条件がすべて同じで、AIが今後15年間、世界の成長率を年率1パーセントポイント超押し上げるという最良のシナリオでさえ、多くの先進国は債務比率をパンデミック前の水準に戻すため、なお収支をほぼ均衡させる必要がある。一部の途上国では、財政黒字さえ必要になるだろう。しかも、人口動態の変化やグリーン移行を中心に、支出への需要が高まるなかで、こうした状況が生じている。

「公共サービスの労働時間の42%を自動化または拡張できる可能性を持つAIは、政府がより賢く支出し、価値を生み出す方法を見直す助けとなる。債務を持続可能に保つため、財政戦略では、AIによる生産性向上と長期的な成長を促す生産的な投資のための借り入れを優先できる。こうした革新を広げ、コストを抑えるには、国際協力が鍵となる。

エリック・パラド、米州開発銀行、米国

「ラテンアメリカとカリブ海地域は、パンデミック後の公的債務管理に大きな課題を抱えているが、慎重ながらも楽観できる理由はある。この地域は過去の危機に際して回復力と適応力を示しており、その経験は現在の状況を乗り切るうえでも役立つだろう。

「パンデミック中に公的債務がGDP比70%を超えるまで急増したことは確かに懸念されるが、前例のない危機を通じて市民と経済を支えようとした政府の決意を反映するものでもある。今、回復が進むなかで、より持続可能な債務水準への道筋を描く機会が生まれている。

「債務をGDP比52~54%という推定『適正』水準まで引き下げるには規律が必要だが、達成可能な目標である。大幅な削減ではなく支出効率の改善に重点を置いた段階的な財政再建は、成長や社会福祉プログラムへの悪影響を緩和する助けとなる。この方法は、生産的な投資に充てる財政余地を生み出し、長期的な経済見通しを実際に改善する可能性もある。

「企業や家計にとって、今後の道のりには一定の調整が必要かもしれないが、経済の安定性向上と将来のショックに対する脆弱性の低下も期待できる。債務問題に先手を打って取り組むことで、各国はより強固な経済基盤を築き、投資を呼び込み、持続可能な成長を促進できる可能性がある。

「各国固有の状況に合わせて慎重に政策を設計すれば、ラテンアメリカとカリブ海地域はこの課題を乗り越え、以前より強く、より回復力のある地域として前進できる。

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